【黒鯛目印落とし込み】TeamBJ交流会in神戸沖

 

午前7時

アイフォーンでセットしたアラーム音が鳴る1時間前に彼は目が覚めた。

 

そう。日曜日の今日は午後から神戸沖でTeamBJの交流会だ。

 

彼はゆっくりと窓を見て、徐に口を開いた。

 

外が明るいやんけ!!

 

朝起きたら大半の人が当たり前とそう感じる

外が明るいという状況。

彼の休みはそれが当たり前ではなかった。

 

休日の寝起きに、既に明るくなった窓を見るのはこれで何度目なのだろうか?

特に重要でないそれを自問自答しながら身体を起こし、先ずは屁をこく。

その直後、ちょっと本体が出たのか、誰も見てないのに平静を装い、トイレへ。

これが彼の最近の休日の始まりだ。

そうは言っても、それはごくごく最近の話で、

普段の彼は、休みといえば釣り。

それもほとんど夜中と言ってもおかしくない位の朝早くに起きて準備し

日の出と共に竿を出すスタイルだ。

潮が高かろうが低かろうが、風が吹いてようがいまいが、、、

とにかく休みの日は一日中釣りをするのが彼のやり方だった。

 

そんな休みを過ごしている為、彼が明るい時間帯に起きる事は稀なのだ。

 

しかし、ここ最近の彼はのんびりとしている。

釣り歴も5年目を迎え、丸一日竿を出すことも少なくなったようだ。

 

特に盆が明け、残暑の残る秋のこの時期は

朝よりも夕方に釣れる。

 

そんなセオリーがあるからなのか、その釣りに慣れてきたのなのか、

 

所謂、釣れそうな条件を狙って釣りに行くことが多いようだ。

しかし、身体はまだ日の出前から釣りに行くモードから切り替わらず、

随分と早めに起きてしまうようで、

二度寝三度寝と繰り返し、

結局アラームがなる前に、諦めて起きたようだ。

 

トイレから出た彼は、

おそらく、本体が出ていたのであろう。

平静を装いつつも

軽く小走りで風呂場へと向かい

直ぐにシャワーを浴びた。

 

 

12時に集合やから、その前に貝取って行くとして、、

10時に出たら十分間に合うな。

いや、その前に餌場調査やな。

ほな、ちょっと早めに出よか。

家おってもなんもする事ないし。。。

 

シャワーから上がった彼はバスタオルで頭をゴシゴシしながら冷蔵庫を開け

 

パックのアイスコーヒーをごくごくっと飲み干し、そんな事を考える。

 

今日は目印ウチオモリボンバイエやな!!

お気に入りのダイワブラックジャックスナイパーT40UM

を眺めながら

 

そろそろ鳴りそうな、アイフォーンのアラームを解除し、

気づけば、いつの間にか釣りに行く準備をしているのであった。

 

集合時間にはまだまだ余裕があったのだが

家にいてもすることがなく、

時間を持て余し、8時過ぎには神戸へ車を走らせるのだった。

休みの日は釣りしかしない、彼の顛末だった。

 

結局休みの日は釣りなのだ。

 

餌場調査

9月中旬ともあって、

夏の晴れた空と暑さも若干落ち着いており、

この日はローライトで、特に程よく過ごせる気温になってきた。

 

 

家の周りの細い通りを抜け、広い道へと出て、

そして国道へ。

流石に明るくなってからだと車もそこそこ走っている。

 

時折信号に引っかかりながら

途中のセブンでコーヒを買い、

阪神高速に乗り一気に神戸へと向かう。

 

余談だが彼は、この途中のセブンでコーヒーカップを機械にセットする時

100%の確率でエラーが出て、再度セットし直すという事を毎回繰り替えしているので、

いつも、次こそは旧機械で手動でやろう。

そう思うのであるが、その次回にはすっかり忘れており、

再び同じことを繰り返してエラーになってしまうのである

 

彼は少し頭が弱いのであろう。

 

 

そんな彼の自宅から、阪神高速で神戸に向かうのであれば、

3号神戸線か5号湾岸線のどちらかになるのだが、

彼は迷わず湾岸線を選ぶ。

 

もちろん湾岸線の方が空いてるし、神戸線よりも早く到着出来るのだが、

なんと言っても一番の理由は海が見えるからだ。

守口線から環状線へ入り、大阪港線へ

大阪市内のビル群の間を大型トラックと共に走り抜け

そして天保山ジャンクションでグルっと右に曲がり

そのまま湾岸線に合流すると直ぐに左に少し海が見え

 

海遊館にある観覧車を横目に走って北港JCTを通過し

ゆるく右にカーブして進んでいくと、

左手に大きく海が見えてくる。

 

そう。舞洲と尼崎フェニックスに挟まれた

淀川の大きな河口だ。

彼はこのカーブを曲がると共に見えてくるこの景色が大好きだ。

 

普段、日の出前に出発する際は、この海を見ることができないのでは??

そう思われた方も多いだろうが、

彼は、釣りに於いてホームはどこだ?

と聞かれたら

大阪湾と答えている。

そして、その言葉どおり、

朝は南港で釣りをして、午後からは神戸で釣りをする。

 

そんな事も当たり前の様に多々あるので、

明るい時間帯にこの湾岸線を走ることも良くあることなのだ。

 

だから彼は、明るかろうが暗かろうが、無意識にこの湾岸線選んでしまうのである。

 

まったくもってどうでも良い話だ。

 

そうこうしている内に鳴尾浜を過ぎ、西宮、芦屋浜、そして深江浜を過ぎ、神戸に到着し、

彼はまず、数年ぶりに訪れるであろう1つのポイントへと向かった。

 

この場所は例年、神戸の中でも比較的長く餌のイガイがついている場所だったが、

彼自身が把握している餌場の中では、

この場所へ行くまでに多少時間が掛かってしまうのと、

その場所まで行かなくても近い場所でイガイが取れる事が多かったのもあり、

 

なかなかここまで足を伸ばすことも少なかったのだ。

 

しかし、大半の場所でイガイが落ちてしまっている状況の中、

まだまだイガイが必要だという現状で

 

この場所に行くという決定は彼の中では通常であった。

 

車を駐車場に止め、リアゲートを開き、

イガイを取るためにはもはや定番になりつつある

太くて強い玉の柄ヤマワのイガイ取りをセットしそれを左手に持ち

ダイワのバッカンを右手に餌場へと歩いて向かった。

 

駐車場から5分ほどで餌場に到着し、

彼は海に近づき、餌取り用のタモの柄とバッカンを足元に置き

岸壁を徐に覗き込んだ。

 

ほれみれ、やっぱあるやん。

 

彼の思惑どおり、この場所には大量のイガイが岸壁に付着していた。

 

やっぱりなー

ここは潮通しも良いし、シェードになる時間帯も長いから、付いてるっておもたわ。

 

彼は自慢げに独り言を発する。

それと同時に、足元に於いた餌取りを手に取って伸ばし、

岸壁についている上層のイガイをいとも簡単に確保する。

そして、その場でしゃがみ込みランダムにイガイを手に取り、

そのイガイの状態を確認

 

しかし、その簡単に取ることが出来た貝の9割は口を開いていた。

 

そんな状況を彼は当然の様に

ウンウン

とうなずいている。

 

彼が思っている事はこうだ。

 

いくら条件が良くても、上層の貝は口が開いているであろう。

それは時期的にも仕方ないことだ。

 

では、どうするというのだろう?

何か策があるのか。

 

すると彼は再び、先程貝をとった場所にイガイ取りを沈め、

今度は先程よりも少し深いところの貝を取ったのだ。

 

最初の時とは違い、少し時間を掛け、しっかりと岸壁にイガイ取りを当て確保したイガイを

先程と同じ様にランダムに手にとって確認する。

 

そして、また先程と同じ様に

ウンウンとうなずいている彼。

 

そのしゃがんだ彼の足元にある、2度目にとった貝は

しっかりと口を閉じていたのだ。

 

全てを悟ったかのように

彼は数回同じ様な深さのところを

餌かきして、イガイの塊をバッカンに詰め込み駐車場へと戻ったのであった。

 

そして次に彼は

最初の場所よりも少し東側に位置する餌場へと向かうことに。

 

最初の餌場とこの2箇所目の餌場との大きな違いは

シェードになる時間の長さである。

2箇所目の方は最初の場所よりもその時間が短いが、

その餌場の位置と向きで言えば、日が当たりにくくはなっているので

それを考慮すると、全面にはついてはいないだろうが、

ポイントを絞れば取れるはずだと彼は予想している。

 

そして、到着し確認すると

彼の予想どおり、ピンポイントでがっつりとイガイがついていた。

同じ様に上層についている貝はほとんどが口を開いてはいたが、

少し下の方を探ると、比較的上質な貝を手に入れることができる。

 

しかしながら、最初の場所に比べると、下の方の貝を

とっても、良質な貝の割合が少し少ないようで、

彼は、その場所で餌をバッカンに入れることなく

 

その餌場を後にした。

 

2箇所目を後にする頃には時間も経ち、ローライトな天気とは言え、

気温もどんどん上がり、かなり汗ばんでいた彼は

車のエンジンをかけ、冷房を全開にし、次の場所へと向かうのであった。

 

3箇所目の餌場は、先程までの場所よりも少し沖よりに位置し、

前回の交流会の時には、この場所でイガイを取ったのだが、

その際、大げさな言い方をすれば、目をつむって片手でやっても容易に取れる位

大量にモリモリとイガイがついていた場所である。

 

しかし、この場所は彼の釣友というか、大先輩である

お互い連絡を取り一緒に釣りをするBKY氏より

 

だいぶ落ちてきてるわ~

かなりよってしなあかんで~

(しっかりと選別しなければいけない)

と聞いていた彼は、

 

その場所でササッと目で確認し、

貝を取って確かめることもなく、また次の場所へと移動するのだった。

 

 

なるほど、この場所の貝がほとんど口を開いてしまっているという事は、

その餌場の向きと日のあたる具合が関係ありそうやな。

という事は、この場所の近くで考えると、あの場所か。。。

 

彼の言葉だけだと、わかりにくいので少し説明をすると

 

太陽は東から昇り、西へ沈む。

しかし、真東から昇り真西に沈む訳ではない。

地軸の傾きがあるため、1年を通して少しずつ北よりやら南よりの東、西に昇って沈むのである。

もう少し詳しく言えば

夏至に一番北寄りの東から太陽は昇り、西に沈み

冬至に一番南よりの東から太陽は昇り、西に沈む。

春分の日と秋分のひは真東から太陽は昇り、真西に沈む。

夏至の太陽は一番高い空を通り、冬至の太陽は一番低い空を通るのである。

もっと詳しく書けば、北回帰線や南回帰線などあるのだが、それは割愛するとして

 

 

 

貝が付き始める頃から全盛期迄はさほど気にしなくてもよいのだが、

気温も上がり、水温があがり、場所によっては完全に口が開いて落ちてしまい

元々はガッツリと付いていた場所でも、

開いた貝自体も落ちてしまい、つるつるになってしまう様な時期になると、

 

日差しの当たり具合は特に重要になってくるのである。

 

 

日が昇ってからの太陽の位置は、日の出の位置よりも南よりになるので、

その日中の日差しが一番届きにくい状態になる場所に貝が残りやすいと仮定し

 

そのシーズンの貝がついている実績ポイントで、且つ南側に建物や背の高い壁があるような場所が、彼の選んだ場所である。

 

いずれにせよ、ややこしいのである。

 

そして、彼はなんだかんだと理由付けしたい、面倒くさい人間なのだ。

 

彼が選んだ餌場には

案の定といえばよいのか、たまたまだったのかは分からないが、

大量のイガイが岸壁に付着していたのだ。

 

 

今シーズンにイガイが付いていた実績ポイントの中から、その条件に当てはまる場所を探しあてたのである。

 

彼は満足気な表情を浮かべ、バッカンにイガイを山盛り詰め込み、渡船乗り場へと向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

交流会

 

そう言えば、本題の彼の交流会の結果であるが、

所謂、大したことなかった

だそうである。

 

参考までに、彼のその時のツイートを見てみると

 

 

やはり大したことなかったようだ。
それにしても、全くもってどうでも良いはなしだ。

 

 

ほんまに終わり