黒鯛工房 第22回大阪湾落し込トーナメント決勝1日目あまぴ。迷いを捨ててフジツボを落とし切った決勝初日
2026年8月。
今年も、この季節がやってきました。
黒鯛工房第22回大阪湾落し込みトーナメント決勝。
暑い。
そして、それ以上に熱い戦いが行われました。
今回の決勝に臨んだのは、前年のシード選手、4月と6月に行われた予選をそれぞれ勝ち抜いた選手、そして黒鯛工房のテスター、スタッフを合わせた49名。
大阪湾の落とし込み釣りを代表する選手たちが集まり、2日間の決勝が始まります。
この黒鯛工房大阪湾落し込みトーナメントの記事を書くたびに、いつも書きたくなることがあります。
それは、大会に参加する意義についてです。
その思いについては、今回の予選記事にも書いていますので、ぜひ読んでみてください。
決勝下見・アマぴ
2026年の決勝初日は、午後からの尼崎フェニックス。
2日目は、決勝では定番となっている南港新波止です。
この組み合わせは、私が初めて決勝へ出場することができた2023年、第19回大会と同じ組み合わせでした。
幸いなことに、私は今回、1次予選で決勝進出を決めることができました。
しかし、2次予選には仲間たちが出場します。
そのお手伝いと称して、このアマPには、そりゃあもう通いました。
通って、通って、また通って。
もしかすると今回が、落とし込み釣りを始めてから一番釣り場へ通った年かもしれません(笑)

下見で見えていた川筋のパターン
下見を重ねる中で、川筋のおおまかなパターンは見えていました。
釣り場へ入った直後は、上の層に浮いている魚をパラパラと拾っていく。
その後は、皆さんもよくご存じの、2ヒロ前後で魚が餌に乗った瞬間に剥がしてドンというパターン。
そして、突然訪れる集中的な時合い。
その時合いは、比較的ヤグラ前後、またはヤグラより奥で起こることが多い。
限られた時間の中で、この状況をどれだけ正確に捉え、魚を取っていけるか。
川筋では、そこが勝負になると考えていました。
予選では虫で魚が釣れていました。
下見でも、虫で釣れたという話を多く耳にしています。
ただ、その一方で規定サイズ以下の魚も釣れていました。
そして私自身、どちらかといえば、川筋でカニを使う釣りのほうが感覚的に合っていました。
そこで、決勝当日に川筋を選ぶのであれば、最初の餌はフジツボ、または貝。
その後、カニへ替える。
下見では16時を過ぎた頃から、川筋の奥で時合いが来た日もありました。
途中で釣れても、釣れなくても、川筋を選んだ以上はスリットへ逃げない。
変化の少ない川筋を、アタリがなくてもめげずに最後まで落とし切る。
必ず時合いは来る。
これが、川筋を選んだ場合の作戦でした。
スリットを選んだ場合の作戦
一方、スリットを選ぶ場合の作戦は、比較的セオリーどおりです。
カニや虫を使い、テーブルの間を狙う。
柱前では、2ヒロ付近で餌を止めて見せる。
決勝初日は午後からの釣りです。
南西の風が吹けば、スリット周辺の水面はバシャバシャと荒れます。
その中で、柱前やテーブルの間に餌をきっちりと入れ、狙った場所で餌を止める。
そして、そこにいる魚を一枚ずつ拾っていく。
アタリが少ない場合は、テーブルの間より少し奥へ餌を送る。
または、柱の裏側まで餌を届けて止める。
ごくごく普通の狙い方です。
しかし、大会という状況では、この普通の釣りを確実にやり切ることが、一番強いのかもしれません。
直前の下見で感じた違和感
決勝は、普段の下見とは違い、午後から行われます。
どうしても午後の状況を確かめておきたかった私は、決勝1週間前の土曜日、こっそり午前中に川筋を調査。
翌日の日曜日には、先輩たちと午後からスリットの下見へ行きました。
それまでの下見では、私自身の釣果や、ほかの人たちのアタリの数を見ても、川筋とスリットのどちらも悪くない印象でした。
しかし、決勝1週間前の下見で、川筋とスリットのアタリ方に、少し違和感を覚えました。
その違和感がどうしても気になり、決勝前日の金曜日にも、午前中ではありますがアマPへ下見に行きました。
ちなみに、水曜日には新波止へ下見に行っています(笑)
では、その違和感とは何だったのか。
まず川筋です。
基本的には、それまでと同じパターンで魚は釣れます。
しかし、魚のいる棚が、少し深くなっていました。
それまで2ヒロ付近で餌から剥がしてドンだったパターンが、3ヒロ付近へ下がったような感覚です。
さらに、それまでは一度アタリが出た場所を少し休ませると、再び似たような場所でアタリが出ていました。
ところが、その法則が崩れていました。
まるでモグラたたきです。
さっきまで何もなかった場所に突然魚が入り、逆に魚がいた場所からは反応がなくなる。
いつ、どこへ魚が差してくるのか。
それが明確ではなくなり、アタリが出る場所を予想しにくくなっていたのです。
一方のスリット。
それまでは、虫やカニを使い、テーブルの間や柱前を狙う釣りで魚が釣れていました。
もちろん、その釣り方でもアタリは出ています。
しかし、それだけではありません。
上の層でも、アタリが出るようになっていました。
上層でアタリが出る。
ということは、フジツボでも釣れる可能性がある。
フジツボで上層を狙う。
目印をつけ、ノーシンカーに近い軽い仕掛けで落とす。
風が当たり、水面がバシャバシャと荒れる状況では難しい。
多くの選手は、重いオモリをつけて深い場所を狙う。
つまり、上層はあまり狙われない。
正確には、狙いたくても狙いにくい。
しかし私は、バシャバシャと荒れた状況で、軽いオモリを使う釣りが大好きです。
自称、得意です(笑)
ほかの選手があまり狙わない上層を、得意な目印の釣りで狙うことができれば、アドバンテージを取れるかもしれない。
しかも上層なので、手返しも早くなります。
落とす回数が増えれば、それだけ魚と出会える可能性も高くなります。
対して川筋は、魚のいる棚が深くなっています。
開始直後に浮いている魚を取ったとしても、人のプレッシャーですぐに沈んでしまう。
多くの選手がセオリーどおりの棚を狙う。
しかし、そこではアタリが出ない。
上を狙うのか。
それとも、さらに深い場所を狙うのか。
狙いが定まらず、落とし方がブレる可能性があります。
深い棚を丁寧に狙えば、釣れる可能性はあります。
ただし、手返しは悪くなる。
魚が釣れたとしても、枚数を伸ばせない可能性もある。
それまでの下見の状況。
そして、スリットでは魚を掛けても、柱や障害物に巻かれて切られる危険があること。
それらを考えると、直前まで決勝当日は川筋を狙うつもりでした。
さらに、2次予選で魚が釣れていた川筋の奥には、多くの選手が入るだろうという予想もありました。
考えれば考えるほど、川筋なのか。
スリットなのか。
気持ちが揺れます。
そして、ギリギリまで悩んだ末に——。
スリットを狙うことに決めました(笑)
一番の決め手
とはいえ、一番の決め手は、難しい分析ではありません。
決勝という舞台で、自分が得意とする上層の目印の釣りで勝負できること。
結局は、これでした。
大会になると、
「テーブルや」
「4ヒロや」
「底や」
「穴の奥や」
「深い場所で止めなあかん」
そんな話が多くなります。
多くの選手が入る大会では、魚へ強いプレッシャーがかかります。
深い場所を狙いたくなるのは、当然です。
それでも、やっぱり上で釣りたいじゃないですか(笑)
おそらく、ほかの選手の多くは、虫やカニを使い、少し深い棚を狙う。
そうなれば、上の層にいる魚はスルーされる可能性があります。
一度ほかの選手が落とした後でも、上層には魚が残っているかもしれない。
しかも、深い場所へ餌を入れた選手は、そのまましばらく餌を止めるはずです。
仕掛けを回収するときも、上層の魚へ与えるプレッシャーは比較的少ないと予想しました。
アタリがなければ、カニに替えてテーブルを狙う。
または、川筋へ移動する。
そういった選択肢も、一瞬だけ頭をよぎりました。
しかし今回は、不思議と、
「ダメなら別の釣りをする」
という作戦にはなりませんでした。
感覚的なものではありますが、このパターンでいける気がしていたのです。
だから、最後までやり通す。
あとは当日、自分で竿を出し、周囲の選手の動きやアタリ方を見る。
その中で、
「フジツボの上層パターンでいける」
という確信を得る。
その確信を持ち、自信を持って最後までやり切る。
それが、今回の作戦でした。
風が当たり、水面がバシャバシャと荒れたスリットで、軽いオモリを使って上層を狙う。
これは、思っている以上にできる人が少ない釣り方です。
というより、ここ数年は渡船の都合もあり、そういった状況で釣りをする機会自体が少なくなりました。
風が弱く、水面が比較的穏やかな状況であれば、多くの人が経験を積んでいます。
しかし、強い風が吹き、水面が荒れると、重いオモリを使って深い棚を狙う人が多くなります。
それは、ごく自然な判断です。
荒れた水面で軽い仕掛けを操るのは、しんどい。
仕掛けが今どこにあるのか分かりにくい。
狙った場所へ餌を届けるのも難しい。
多くの人が、そう感じるのも事実です。
しかーし!
私自身もそうなのかと聞かれれば、答えはNOです。
むしろ、得意なんです(笑)
私はこの釣りを始めた初年度から、そういった状況でずっと釣りをしてきました。
むしろ当時は、わざわざ風が当たる場所を狙って釣りをしていたほどです。
誰かが避ける状況が、自分にとっては慣れた状況。
だからこそ、決勝という舞台でも勝負になる。
そう考えました。
決勝当日
今回で、3回目となる決勝の舞台。
心地よい緊張感を感じながら、少し早めに家を出ようとしていたところ、仲間から電話がかかってきました。
「もう近くのコンビニに着いてます」
まだ朝の7時過ぎです。
受付は、確か10時頃だったはず(笑)
早すぎるやろ。
急いで準備を済ませ、私は家を出ました。
例年は下道で向かうのですが、今回は高速道路を使います。
8時過ぎに到着。
仲間と少し雑談をし、買い物を済ませ、大会会場へ向かいました。
到着すると、すでに多くの選手が準備を始めています。
竿を出し、仕掛けを確認し、餌を準備する。
どの選手からも、この大会へ向けた気合が伝わってきます。
受付を済ませ、乗船。
尼崎フェニックスへ到着します。
選手同士でワイワイと話していると、時間はあっという間に過ぎていきました。
そして、いよいよ開始時間です。
決勝初日・アマPスリット
2次予選の結果を考えると、川筋へ多くの選手が向かうのではないかと思っていました。
しかし実際には、少しだけ川筋へ向かう選手が多い程度。
20名以上の選手が、スリット側で降りました。
昨年までの私は、
「いかに先頭へ行くか」
「いかに早く誰も落としていない場所を確保するか」
そこを強く意識していました。
スタートと同時に前へ出て、サラの場所をできるだけ多く狙う。
大会では、それが正解だと思っていました。
しかし今年は、なぜか少し落ち着いていました。
大会が始まると、選手の動きは大きく三つに分かれます。
先頭を取るため、一気にダッシュする人。
それなりの速さで、前へ進んでいく人。
そして、後ろからゆっくりと進む人。
今年の私は、後ろから行く人たちの側でした。
なぜか。
先頭へ行く人たちは、もちろん前へ走っていきます。
その次の集団も、先頭を追って歩いていく。
そして後ろの集団は、本当にゆっくりと進みます。
すると、スタート地点付近が一時的に空くのです。
今回でいえば、沖向きスリットと運河側のちょうど角付近。
案外、誰もいない空間ができる。
もちろん、その場所を狙うためには、開始前から近くの立ち位置を確保しておく必要がありますが(笑)
そんな分析やうんちくはさておき。
大会が始まりました。
いざ、スタート
案の定、狙っていた場所に空間ができました。
私は小指の爪ほどの大きさのフジツボをつけ、スリットの穴の中へ送り込みます。
使用した竿は、ヘチセレクションZX硬調288。
仕掛けには、25センチ間隔で目印を6個。
ハリスは2号。
餌は、小指の爪ほどのフジツボ。
オモリはつけず、ノーシンカーです。
程よく風が吹き、水面がバシャついています。
スリットの間へ入れたフジツボが、水の動きに引き込まれていきました。
次の瞬間。
目印が、シュッと走ります。
食った!
開始直後。
狙っていた上層。
思い描いていたとおりのアタリです。
しかし、そこは私。
上層ですぐに食ってくると考えて落としていたにもかかわらず、
「まさか1投目から?」
と、完全に先手を取られました。
魚は一気にスリットの中へ走り、ハリスを巻き込んでいきます。
ブレイク。
やってもた……。
まだ始まったばかり。
しかし、自分が決勝まで考えてきた釣り方で、いきなり魚は食った。
狙いは合っている。
それなのに、取れなかった。
うれしさよりも、悔しさと焦りが一気に押し寄せます。
急いでその場でハリスを結び直していると、進行方向のすぐ先でSさんが早くも竿を曲げています。
さらに、もう一人のSさんも魚を掛けたようで、検寸場所へ魚を運んでいきました。
やられた。
やられた。
先手を取られた。
周りは釣っている。
私は1投目で掛けたのに、切られた。
焦るな。
まだ始まったばかり。
みんなとは狙っている場所が違う。
多分、違う。
大丈夫や。
いけるやろ。
みんな、もう少し下を狙ってるもんな。
自分へ言い聞かせるように、何度も頭の中で繰り返しました。
新しく結び直した仕掛けに、再びフジツボをつけます。
そして、また落とし始めました。

見えにくいスリットを狙う
この釣り場へ行ったことがある方なら、ご存じだと思います。
船着きから沖向きスリットを進んでいくと、途中から足場よりスリットが少し奥へ引っ込み、穴が見えにくくなる場所があります。
自分の餌が、どこへ入っているのか。
スリットの中へ入っているのか。
柱前を通っているのか。
潮に巻かれているのか。
その餌の軌道を確認するために、私は目印をつけています。
案の定、穴が見えにくい場所には、人があまりいません。
その付近で落としていたのは、ハレンチなMぁくんことKさんと、あと数名程度。
大会では、狙った場所へ仕掛けを入れられないことが、そのまま不利につながります。
そのため、この場所を狙うのは、ある程度正確に仕掛けを入れられる人に限られていたのだと思います。
多分ですが(笑)
私は目印で餌の軌道を確認しながら、見えにくいスリットへ順番に仕掛けを入れていきました。
この時間の狙いは、ラインが2ヒロ入るまで。
それ以上は追わず、手返しよく数を打っていきます。
どういうことか。
スリットの中へ仕掛けを入れると、潮がラインや目印、ハリス、餌を横方向へ引っ張っていきます。
仕掛け全体が2ヒロ入っていても、斜めになっているため、実際の水深は1ヒロから1.5ヒロ程度。
そこまで入った時点で仕掛けを回収し、次のスリットへ移る。
落とす。
回収する。
また次へ落とす。
とにかく最初の1時間は、手返しを重視して落とす回数を増やす。
周囲を見ると、一つのスリットに時間をかけて落としている選手が多い。
私は手返しだけは早いので、次々と選手を追い越しながら進んでいきました。

狙いを少し深くする
見えにくいスリットの区間が終わり、再び穴が見やすい場所まで来ました。
しかし、アタリはありません。
そこで、狙い方を少し変えます。
仕掛けを入れる長さは同じ2ヒロ。
ただし今度は、仕掛け全体が2ヒロ入った時点で回収するのではなく、実際の水深が2ヒロになるまで、しっかりと落とし込む。
先ほどとの違いは、
「仕掛けが2ヒロ入ったら回収する」
のか、
「水深2ヒロの棚まで餌を届ける」
のかという違いです。
スリットの中へ仕掛けを送り込む。
潮に引っ張られた仕掛けを、スリット内の潮の出入りに合わせてなじませる。
そして、しっかりと2ヒロの棚まで落とし切る。
当然、最初より手返しは悪くなります。
しかし先を見ると、スリットでアタリが出ないためか、多くの選手が川筋へ移動していました。
残っているのは、数名程度。
今なら、じっくり狙える。
ここぞとばかりに、一つひとつのスリットを2ヒロまで丁寧に探っていきました。
私の少し先には、キラキラ女子のTくちゃん。
知っているメンバーばかりなので、安心して邪魔できます(笑)
スリットを一つずつ落とす。
2ヒロまで、じっくり探る。
その動作を繰り返していると、目印がすべて水中へ入り切ったところで、手元にアタリが伝わりました。
合わせる。
魚の重みが乗る。
「やっぱりおったな」
狙っていた棚。
狙っていた釣り方。
思い描いたとおりに食ってきた。
魚を掛けた瞬間、確信がさらに強くなりました。
しかし——。
スパーン!
一瞬で、魚の重みが消えました。
また、やられた。
貴重な1枚をバラしてしまいました。
開始1投目のブレイクに続き、また取れない。
狙いは合っている。
魚も食っている。
それなのに、結果にできない。
大会という限られた時間の中では、一つの失敗が重く感じます。
それでも、不思議と気持ちは前向きでした。
自分が考えてきた釣り方で、しっかりと魚は食っている。
偶然ではない。
この釣り方でいける。
そう確信できたからです。
急いで新しい目印仕掛けをつくり、再び落とし始めました。
少し前で落としていたTくちゃんに状況を聞くと、さっぱりダメダメウ◯コとのことです。
そのTくちゃんを追い越し、すぐ前で仕掛けを落とします。
目印がすべて水中へ入り切る。
その状態で、少しフワフワと餌を漂わせる。
軽く聞いてみる。
重い。
魚です。
そのままフッキング。
思っていたよりも引きが強くありません。
私はTくちゃんのほうを見ながら、笑顔でやり取り。
そのまま無事にタモへ入れることができました。
ようやく、1枚。
開始直後から、2回魚を掛けて取れなかった。
焦りもあった。
周囲には先に釣られていた。
それでも、自分の釣りを信じて続けた。
網の中へ魚が入った瞬間、ようやく少しだけ肩の力が抜けました。
魚を持って検寸場所まで走ります。
とりあえずの1枚。
本当に、一安心でした(笑)

同じパターンを信じて
その後も、同じ釣り方でスリットを順番に落としていきました。
アタリが少ないのか、開始直後よりも、さらに人が少なくなっています。
そして、見えにくいスリットを越えた辺りで、再びアタリ。
魚は乗りませんでした。
しかし、どうやら沖向きの中央より少し川側。
その付近のスリットが良さそうです。
キラキラ女子も、その辺りでアタリがあるとのこと。
魚はいる。
狙う場所も、少しずつ絞れてきました。
中央より川側のスリットを、行ったり来たり。
ネチネチ。
ネチネチ。
一つずつ落とし直していきます。
そして、やはり同じパターンで——。
2枚目。

自分の中で、さらに確信が強くなります。
間違っていなかった。
フジツボ。
上層から2ヒロ。
風が当たるスリット。
大会前に思い描いていた釣りが、決勝の舞台で形になり始めました。
その後、再び沈黙の時間が続きます。
しかし、周囲ではポツリ、ポツリと竿が曲がる。
完全に止まっているわけではない。
魚が動いた瞬間を逃さないように、同じ場所を何度も丁寧に落としていきます。
そして、私にも再びアタリ。
やはり、同じパターンでした。
3枚目。

この魚は、なかなかの大きさでした。
強い引きで目印がズルズルになりながらも、何とかタモ入れ成功。
大会前に考えていた釣り方で、3枚。
最初の2回は取れなかった。
それでも、狙いを変えずに続けた。
その結果、少しずつ魚を積み重ねることができました。
この時点で14時50分。

競技時間は、まだ残っています。
川筋は釣れているのだろうか。
運河側のスリットはどうなのか。
下見では16時頃から、川筋の奥や運河側スリットで時合いが来たことがありました。
そちらへ移動して、その時合いを狙うべきか。
それとも、今まで魚を取った沖向きスリットの川寄りを続けるべきか。
3枚取れたことで安心した気持ち。
まだ伸ばせるかもしれないという期待。
場所を変えたほうがよいのではないかという迷い。
いろいろな感情が入り混じります。
ひとまず、一番可能性を感じていた沖向きスリットの川寄りで、落とし続けることにしました。
しかし、落としても、落としても、アタリがありません。
時間だけが過ぎていきます。
何度も餌を変えようと思いました。
虫なら食うのではないか。
カニなら、もう少し深い場所でアタリが出るのではないか。
川筋へ行けば、時合いに当たるかもしれない。
迷いは、何度も頭をよぎります。
それでも、今回はフジツボでやり切ると決めていました。
狙っていた釣り方で、すでに3枚取れている。
ここで迷って釣り方を崩せば、最後まで何を信じていたのか分からなくなる。
私は餌を変えず、フジツボを落とし続けました。
15時半頃からは、下見で時合いのあった運河側スリットへ移動。
最後の時合いを狙いました。
しかし、思うような反応はありません。
そのまま競技終了となりました。
決勝初日の結果
初日トップは4枚で2名。
2人とも、虫での釣果でした。
3枚は8名。
その中に、私も入ることができました。
3枚を釣った選手の餌は、虫、カニ、そして私が使ったフジツボ。
さまざまな餌で魚が釣れています。
2枚を釣った選手も10名以上。
初日の結果だけでは、まだ順位は大きく離れていません。
完全な混戦です。
1投目で魚を掛けながら、ハリスを切られた。
次に掛けた魚も、取ることができなかった。
周りでは次々と魚が釣られ、焦りもありました。
それでも、下見から考え続けた自分の釣り方を信じ直し、最後までフジツボでやり切った。
結果は3枚。
トップとは、わずか1枚差。
まだ終わっていない。
2日目で、十分に巻き返すことができる。
初日の悔しさも、手応えも、すべて持ったまま。
勝負は、南港新波止で行われる決勝2日目へ続きます。









